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「よ、隆哉!」
「嘘だろ……?」
帰宅した僕を待っていたのは、親友の良樹だった。
「なんで、お前ここにいるんだよ?」
青と黒のギンガムチェックのネルシャツに、ジーンズ姿。髪は明るい茶髪で、無造作に整えられている。顎のラインはすっとしているものの、瞳は僕と比べると大きい。
最後に見た時の良樹は、徹夜明けでボロボロの姿だったので、整えられた良樹を見るのは久しぶりだった。
レポート提出も無事、終わったのだろう。
スッキリした表情の良樹は、千恵子おばさんの家のダイニングテーブルに座って、僕を見上げてニカッと笑う。
よく見ると、手には湯呑みを持っている。
そういえば、先ほどから優しいこぶ茶の匂いがしている。
「おばさんの淹れてくれる梅こぶ茶、最高だわ」
「だから、良樹、ここで何してんの!?」
のんびりとお茶をすする良樹に、僕は思わず、らしくない声を出してしまった。
「京都旅行に来てみた」
「はい?」
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