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「隆哉さ、もう忘れたわけ? 俺のレポート提出が終わったら飲みに行こうって約束してただろ? それなのに、勝手に京都行っちまってさ。たまたま隆哉のおばさんに出会って『菊屋』でバイトを始めたって聞いて。俺も暇だし、遊びに行こうと思って、来ちゃった」
最後にペロッと舌を出して言う良樹を、一瞥した。
「何だよ、その目、隆哉、冷たすぎだろ?」
「良樹がやっても可愛くないんだよ」
「じゃあ誰がやったら可愛いって言うんだ。隆哉お前やってみろよ。……いや、見たくない。男臭いお前がやったら余計」
「うるせぇ」
良樹の言葉を遮って突っ込む。そんなやり取りをしていると、暖簾をくぐり、千恵子おばさんがやってきた。お盆の上に様々なお茶菓子を乗せている。
「良樹君、このお菓子もよかったら」
「ええ!? いいんですか! 俺、腹が減ってたんです!」
「千恵子おばさん、ごめんね。これ、僕の部屋で食べさせるから」
「そうなん? ほな持って行ったらええよ。そうや、今日、良樹君、泊まっていくんやろ?」
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