7人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっとね、ここに来るまでは、掃除をして、洗濯をして……」
「ああ、親戚の家の手伝いをしていたってこと?」
「そ、そう」
「そっか。普段の雪さんは、何してるんだっけ?」
そういえば、地元で彼女が何をやっているのか聞いていなかった。
僕と同じ大学生だろうか?
それとも、もう働いている?
「私はもう学生じゃないよ。隆哉君は、今、大学生だよね?」
思い出したかのように、早口に彼女が言った。僕は目線を合わせて、「そうだよ」と答えた。
「どんな勉強しているの?」
興味津々と言った目だった。無色透明のビー玉のような目で彼女は僕を見上げる。
彼女のことも気になるけれど、先に自分の話をしようと思った。
「学部は教育学部。学科は初等教育学科だよ」
僕は、キャンパスを思い出しながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!