第5章ー2

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「えっとね、ここに来るまでは、掃除をして、洗濯をして……」 「ああ、親戚の家の手伝いをしていたってこと?」 「そ、そう」 「そっか。普段の雪さんは、何してるんだっけ?」 そういえば、地元で彼女が何をやっているのか聞いていなかった。 僕と同じ大学生だろうか? それとも、もう働いている? 「私はもう学生じゃないよ。隆哉君は、今、大学生だよね?」 思い出したかのように、早口に彼女が言った。僕は目線を合わせて、「そうだよ」と答えた。 「どんな勉強しているの?」 興味津々と言った目だった。無色透明のビー玉のような目で彼女は僕を見上げる。 彼女のことも気になるけれど、先に自分の話をしようと思った。 「学部は教育学部。学科は初等教育学科だよ」 僕は、キャンパスを思い出しながら言った。
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