第6章

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靄のかかった思考というのは、今の僕の頭のようなことを言うのだろう。 何も考えられない。昨日の夜のこと以外は……。 「今日はずっと上の空だね? 楽しくなかった?」 映画館を出て、すぐ雪さんにこんなことを言われてしまった。 「いや、楽しかったよ、すごく……」 「それならよかった。私の選んだ映画がダメだったんじゃないかって、心配した」 「いや、そんなことないよ。いい映画だったと思うよ」 「なんだか、その言い方……」 濁すように彼女が言った。 「え? 何か言った?」 「……うん。今、隆哉君、言ったでしょ? いい映画だったと思うよって。その言い方、なんだか気持ちが半分しかこもってないみたいだなって……」
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