第6章

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やはりその場に雪さんはいなくて。大声で呼んでも彼女は現れず、近くを探し回ったが、彼女の姿は見つけられなかった。それから、僕はあたりの桜の木の周りを探し回った。 どれくらいの桜の木を巡ったのかはわからない。けれど、結局、彼女を見つけることができずに、気づけば日は上っていて。僕は一縷の希望をかけて、今日、この待ち合わせ場所へきた。 そこへ、雪さんはやってきた。 何事もなかったのかのように、いつも通りの笑顔で手をふり、僕に向かい駆け寄ってくる。 僕が消してしまったはずの、彼女が――。 「次は、面白い映画にするね」 少し残念そうに前を歩く彼女が、かすんで見えた。 僕はまた彼女が消えてしまう気がして、細い手首をつかんだ。 「隆哉君?」
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