第6章ー2

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それから僕は、彼女に未来の話を聞いた。 幼稚園で見た子が僕たちの子どもにそっくりだったということ。 「どんな子なの?」 散りゆく桜並木を歩きながら、僕と彼女は手をつなぎ、未来の子どもの話をする。とても不思議な気分だった。僕の未来が、これほどまでに暖かい世界に繋がっているなんて、今まで考えたこともなかった。 「優しくて、可愛くて、でも、男らしいの」 「そうなの?」 僕は笑った。いろんなことが矛盾している。 「そう。顔つきは可愛らしいんだけど、性格は男の子なの。ママのこと、僕が守るからね! とか言ってくれる」 彼女の顔はにやけている。男の子は母親にとって小さな恋人だと聞いたことがあるが、まさにそのような顔つきだった。 「やっぱりね、あなたに似てるよ」 「僕に?」
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