6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
それから僕は、彼女に未来の話を聞いた。
幼稚園で見た子が僕たちの子どもにそっくりだったということ。
「どんな子なの?」
散りゆく桜並木を歩きながら、僕と彼女は手をつなぎ、未来の子どもの話をする。とても不思議な気分だった。僕の未来が、これほどまでに暖かい世界に繋がっているなんて、今まで考えたこともなかった。
「優しくて、可愛くて、でも、男らしいの」
「そうなの?」
僕は笑った。いろんなことが矛盾している。
「そう。顔つきは可愛らしいんだけど、性格は男の子なの。ママのこと、僕が守るからね! とか言ってくれる」
彼女の顔はにやけている。男の子は母親にとって小さな恋人だと聞いたことがあるが、まさにそのような顔つきだった。
「やっぱりね、あなたに似てるよ」
「僕に?」
最初のコメントを投稿しよう!