エピローグ

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と、持っていた地図を見ながら、タクシー乗り場を探す僕の前に、「ひゃあ!」と声をあげて転ぶ女性がいた。 僕と同じ年くらいに見えるのに、行動も声も幼くて。 華奢な骨格や、流れる髪の艶やかさも、見覚えがあって――。 僕の心がドクンと鳴った。 「いったあ」 こけて擦りむいたであろう膝小僧をさすりながら、声を出す女性のもとへ僕は歩いていく。 彼女から花の香りがする。 エフェドリンと呼ばれる桜の物質に、人は知らず知らずのうちに、引き寄せられるんだっけ? そうだったよね?
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