始まり

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始まり

 私、日向葵(ひなた あおい)。今日から華の女子高生!  入学式は、変わり映えしない眠たさとの戦いだった。 「終わったぁ。」  体育館から出た後に、おもいっきり背伸びした。 「あんたは猫か。」  親友の尾実久宏(おく みひろ)の突っ込みが。 「だって、眠かったし。」  次は両手を後ろで組んで、頭の方へと持ってきて伸びをする。  この高校は部活動が盛んで、いっぱいある。  入学式後の勧誘合戦は名物とか。  私は、料理研究会に入って女子力上げる! って決めている。  『モテない高校生活は地獄!』って誰かが言ってた! 気がする。  握りしめた拳が自然と顔の高さまで上がっていた。 「ちょっと、何気合い入れてんのよ。葵ったら。」 と実宏が笑ってた。  はっとし、 「何でもない、ない、ない。」  否定した手の動きは早かった。 「早く、お料理研究会探そう。」  小走りになっていたのは、恥ずかったから。  いくつもの勧誘を避けていると、いつの間にか実宏とはぐれていた。  気が付くと、そこは校舎裏と思われる場所。 「あなたは、新入生?」  突然、背後から声がかかった。 「は、はい!」  驚いて声が裏返ってしまった。 「こんなところで何を?」     
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