第八章 The Knight meet joker

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 頭痛を気にしながらそっと体を起こす。ありがたいことに、縄もさるぐつわもキレイになくなっていた。  和樹がいたのはゴムボートの中だった。それもプールで使うようなチャチな物じゃない。ランプとテントまでついている頑丈な奴だ。中には撮影機材が詰まっているのだろう、銀色の大きなケースが乗っていた。 「すごいでしょう。救難用のボートにエンジンつけて改造したのよ」  得意そうにルリが船のヘリをポンポンと叩く。そのご自慢のエンジンは、今静かに止まっていた。 「それにしても、変わった趣味ね。サメの出る海域で泳ぐなんて。それとも、新しい自殺の仕方? お望みならまた海に叩き込んであけるけど」 「断固拒否する。あ、そうだ。そういえば、サメ!」  水面には、ミニチュアの宇宙船を思わせる銀色の流線型が、プカプカと浮かんでいた。ちょっと生臭い。 「これ…… ルリ、あんたが……」 「ううん、私がやったんじゃないわ。ここ通りかかったらもうこんなになってたの」 「ボーイ、君がやったんじゃないか。覚えてないかい?」 「コンガ……」  赤い服をまとったコンガが、静かに浮いていた。 「言ったはずだよ。鼓動知る能力を使って人を傷つけてはいけないって…… まあ、今回は相手が魚だったから、能力没収にはならなかったけど」     
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