第八章 The Knight meet joker

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「どうやって?」 「俺が、鼓動に『止まれ』って念じたから」  ルリは何か悪い物でも食べたような顔をした。 「あなた、相当酷い目にあったのね。記憶が混乱してるのよ」  ルリはポンポンと和樹の肩を叩いた。 「海流かなにかの関係で、サメの死体が集まってきたんでしょ。フカヒレの分際で人様を食おうとするからバチがあたったのよ」  サメが聞いたら間違いなく怒る理論をぶちかまして、ルリは夜の闇にフラッシュを光らせた。 「『サメ大量死の謎』だめだわ。午後のワイドショーの隅っこでしか扱ってもらえそうにない。スズメバチとか万引きジーメンの枠で」 「違うんだ!」  あまりにも呑気なルリの言葉が気にいらなくて、和樹は思わず大声をあげた。 「俺の、俺の能力なんだ。鼓動を知る能力」  和樹は自分の両手を見下ろした。 「ふうん。そこまでいうんだったら、そうなんでしょうよ」  ルリの言葉はあまりにもあっさりしていて、逆に和樹の方が驚いたほどだった。  ルリは、少しずつ船から離れていくサメの死体を視線で指した。 「それに、マシンガンさえあれば私だってこれぐらいできるわよ。別に危ない能力を持ってても使わなければいいだけじゃない」     
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