猪山

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 開成山公園にある野外音楽堂でリハーサルをしていて、彼女の他にも声優の(しま) (むら)()()(おき)()沙耶(さあや)、そして監督の(しの)(のめ)(とも)(ひろ)がいた。  さほどアニメに詳しくないので、刹那以外の声優は『鬼霊戦記』で初めて名前を知った。 「ふ~ん、沖田沙耶か……」 「知ってるの?」 「ああ、叔父ちゃんが高校生の頃、凄く人気があった声優だよ。まだ、やってたんだな。  島村舞桜は知らないなぁ」 「刹那さんと同じ新人だから」 「やっぱり。東雲監督は知ってる。おれをシナリオライターで使ってくれないかな」 「それはムリ」  思わず断言すると、叔父は顔を(しか)めた。 「あ、そうだ、副業はどうだったの?」  悠輝は全く収入にならないのにシナリオライターが本業だと言い張っている。
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