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魔物とは肉体を持たず、人に禍をもたらす危険な存在だ。
その正体は祖父にも正確には解らない。
妖魔、妖怪、悪魔、そして鬼……様々な呼び方があるが、いずれも基本的には同じモノだ。
ただ、幽霊や霊とは別物で、こっちは人間の残留思念だと叔父は言う。
ちなみにこの点は、祖父は人間の魂と解釈している。
僧侶なのだから当然だ。
「じゃあ、その子も験力を……」
「明人よりも弱いけどね。あれだけ微弱なら普通は狙われない、よっぽど鼻の利く魔物だったのか……
どっちにしろ、キッチリ斃して来たから一件落着だ」
「じゃあ、こんな所にいないで休んだら? ほとんど寝てないんでしょ?」
「そうする。もうすぐお昼だし、一緒に戻ろう」
そう言いながら朱理の頭をなでようとしたので、素早くかわした。叔父の手は虚しく空をつかみ、淋しそうな顔をする。
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