75人が本棚に入れています
本棚に追加
梵天丸は朱理の命の恩人でもあるので当然だが、心優しい政宗も今では大切な家族だ。
「お前ら、おれの方には来ないのな……」
後ろで叔父が淋しそうに言った。
政宗が気をつかって、悠輝の方へ行く。
「お前はいい子だなぁ」
頭を撫でながらしみじみという。
「入るならすぐに入りなさいッ、電気代がもったいないでしょ!」
「はいッ」
中から聞こえた声に朱理は条件反射で応えて、梵天丸を抱きかかえて茶の間に入った。
悠輝は逃げようとする政宗を引きずって朱理に続いた。
「あんまり恐い声出すなよ、政宗が怯えるだろ」
襖を閉めながら言い返す。
最初のコメントを投稿しよう!