猪山

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 梵天丸は朱理の命の恩人でもあるので当然だが、心優しい政宗も今では大切な家族だ。 「お前ら、おれの方には来ないのな……」  後ろで叔父が淋しそうに言った。  政宗が気をつかって、悠輝の方へ行く。 「お前はいい子だなぁ」  頭を撫でながらしみじみという。 「入るならすぐに入りなさいッ、電気代がもったいないでしょ!」 「はいッ」  中から聞こえた声に朱理は条件反射で応えて、梵天丸を抱きかかえて茶の間に入った。  悠輝は逃げようとする政宗を引きずって朱理に続いた。 「あんまり恐い声出すなよ、政宗が怯えるだろ」  襖を閉めながら言い返す。
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