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スサノオはなるほどと思う。自分一人ではここまで頭は回らなかった。
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ヤマタノオロチをやっつけた暁に娘をやると老夫婦は言ったが、なにを言うか今いただくと、情け容赦なくクシナダを抱き寄せたスサノオである。
ああっ、おやめください嫁入り前ですと泣き叫ぶ老夫婦の前で、ついに事に及ぼうとした時、クシナダヒメはどろんと姿をかえた。
名前通り、櫛に姿を変えたのだ。
つつましやかな品のある櫛である。
(あんたに触られる位なら櫛になってやらあ)
という意思の表れであるが、スサノオは深く考えなかった。
「櫛なら髪にさして、どこでも連れ歩ける。ということは、どこでもちょうどよい場所を見つけたら、髪から外して娘の姿にして、いろんなことができるんだ」
それくらいの思考しかなかった。
今、ヤマタノオロチの巣を前にして、スサノオにあれこれと指示を出しているのは、まさに櫛になったクシナダだった。
フケ、蚤だらけの汚らしい髪の毛に、ひっそりと納まった美麗な櫛――ああいやだいやだ、臭い汚い最悪。さっさとこんなこと終わらせて、適当なところでずらかっちゃおう――櫛の魂胆など、スサノオには伝わらない。
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