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これはまだボクが、中学生の頃の話。 小学生の頃は、 家が近いこともあり、 ボクは、冴子やケン、そして、愛と一緒に遊ぶことが多かった。 他にも冴子のお兄さんやケンのお姉さんなどには、よく遊んでもらっていた。 中学生になると、 男女で好みが異なり、 友達も増え、 別のクラスになり 遊ぶことは少なくなっていった。 ボクが愛の事を意識し始めたのは、その頃だった。 小学生の頃は自然に声をかけることができたのに 意識すればするほど、どう声をかければいいのかわからなくなっていった。 声をかける機会は何度かあった。 中学1年 8月 地区の盆踊り 中学1年12月 みんなで一緒に行ったスキー場 中学2年 8月 地区の盆踊り 中学2年10月 修学旅行 チャンスなんていくらでもあった。 それでもボクは、声をかけることができなかった。 ボクは、チャンスに甘えていた。 今を逃してもまた次が来る。 いつの間にか時が経ち、 中学3年10月になっていた。 近隣の高校は3つある。 ボクは、愛の進路を知ろうと、 卑怯にも冴子に聞いてみた。 「そっか、冴子はあそこの高校にするんだ。そういえば、愛は?」 冴子も言わないと思っていた。 だが、冴子は少し黙って、ボクに愛の行きたい高校を教えた。 そこは近隣の高校3つどれでもない遠くの高校。 その高校名を聞いたとき、愛の気持ちもわかった。 そこは、冴子のお兄さんのいる高校。 ボクが愛と同じ高校に行きたかったのと同じように 愛は、冴子のお兄さんと同じ高校に行きたかったのだ。 ボクの恋愛は告白の前に終わったのだ。 だが、 冴子は続けた。 「愛の気持ちもわかっちゃったよね。でもね、それでもちゃんと言葉にして伝えた方がいいよ。」 ボクは、 冴子に後押しされ、愛に告白した。 結果は、玉砕。 そのときは、ひどく傷付いたが、 今になって思えば ボクはあのとき告白して良かったと思う。 あの玉砕のおかげでボクは、新しい恋に踏み出すことができたのだから。
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