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写真部に入って良かった事は、人気のある先輩や同級生の写真を堂々と撮れる事かも知れない。
特に運動部のキャプテンとか部長とか、キラキラした眩しい存在の先輩達なんて、運動音痴の私には本来、まったく縁がない。
そんな遠くから見ても、キラキラと眩しい人達を写真部の特権と先生からの指命で写真に撮る。
各部、スポーツのルールもまるで分からないから、勝敗が決まった事も分からず試合が終わってた事があるくらいだけど…。
試合前の緊張や気合い、試合中の真剣な顔とか、試合後の笑顔や悔しさ、泣き顔なんかは見ていて感動してしまう。
その気持ちの一瞬を残したくて、必死にシャッターを押す。
いい写真が撮れたのかどうかは分からないし、いい写真なのかどうかも分からない。
私はまだまだ、写真を撮るのも上手くないし、自分がいいと思っても、誰もいいとは言ってくれないし何にも使われない。
ただ、文化祭には部員全員の撮った写真が展示される。
公平に1人10枚って決まってるから、写真選びには皆すごく苦労する。
これだ、と思う物を選んで提出しても、皆の写真を見てる内に換えたくなったり、中には撮り直ししたりする人もいるらしい。
私も撮り直ししたくなるかも知れないけど、上手い下手は気にせず、誰かに見てもらえればそれでいいやと思う事にした。
そして、文化祭当日。
やっぱり取り直しした方がよかったかも、違う写真にした方が良かったかも、と思いながら、写真部の自分の展示写真を見ていたら、隣に誰か来たのが分かった。
「俺、この写真好きだな」
「え!?」
隣を見たら写真部の1つ上の高木先輩だった。
「お前のこの写真」
「ええええ、こ、これ? ホントですか」
「うん。 いいと思うよ」
「えー、(感動)ありがとうございます」
「おう、じぁな」
「はい」
さっと来てさっとどこかに行く高木先輩の後ろ姿は人が多くてすぐ見えなくなったけど、キラキラと眩しく見えた。
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