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階段は、思っていたよりも長くて険しかった。
それを登り切った先にあったのは、公園ではなく、小さな神社だった。
背の高い木々に埋もれて下からは見えなかったが、登り切ってすぐに鳥居があり、奥に小さなお社が見える。
人気はなく、とても静かだった。今日は一日、ここで過ごせるかもしれない。
鳥居をくぐって境内に入り、せっかく登ってきたからとお社に近付いてお参りをした。しばらくここに居させてくださいと、神様に挨拶をしておく。
良く晴れていて、過ごしやすい日だった。
五月の連休を過ぎて、時々夏のような暑さの日もあるけれど、今日は日差しは暖かく、適度に吹く風も冷たすぎない。
私は神社の中でも一番大きな木に近付いて、その幹に寄りかかるようにして座ると、通学カバンから文庫本を取り出して読み始めた。
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