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私が不安なことを話すと、彼はそんなにいろいろなことを心配しなくても大丈夫だよ、と優しく言ってくれた。
私は時々彼に話を聞いてもらって、本を読んで、ぼんやりして過ごした。そうやって穏やかに時間を過ごしているうちに、私は少しずつ、不思議と自分の気持ちが落ち着いて、晴れていくような気がした。
「僕とは一度出会ったら、もう二度と会うことは出来ないけれど、苦しい時にはいつでもここに逃げておいで。見えなくても、その時僕はちゃんと傍にいるから。もちろん、一人になりたかったら、そう言ってくれても良いよ」
彼はそう言って優しく笑う。
「神様は、一度きりしか人と会えなくて寂しくはないんですか?」
不思議に思ってそう聞くと、彼は寂しくないことはないけれど、と答えてくれる。
「二度目があると、人はそれに期待しちゃうことがあるから。それに、本当なら一度も僕に会わない方が幸せな人生なんじゃないかって、僕は思ってる。だから、そんなには寂しくないよ。いつか笑って此処に来てくれることがあったら、それだけですごく嬉しい」
彼は本心からそう言っているようだったので、私はさらに質問した。
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