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彼はロイドといって[私達の幼馴染]なんです。
[彼は孤児]で、子供の頃は私達の家から少し離れた教会の近くの孤児院に住んでいました。
彼とは子供の頃、一緒によく遊んでいて・・・[怪我をした私の手当てをしてくれる]とても心優しい男の子だったのです。
あの日、姉の出演する舞台を観劇しに・・・と言っても、[今の私はもう舞台を観る事は出来ない]けれど。
あぁ、気を遣わせてしまってごめんなさい。
それでも、私は姉の舞台がある日は劇場へ行く事が日課となっていましたから。
舞台が終わった姉と2人で家に帰ろうとしていた途中、私達は偶然にも彼と再会したのです。
[彼も私達の事を覚えていた]みたいで・・・再会出来た事を心から喜んでくれました。
私達は彼に事情を説明し、以前のようにまた仲良くしてほしいと伝えると、再会した日はそのまま彼と別れたのです。
そして、その日を境に彼は私達の家へ頻繁に遊びに来てくれるようになりました。
以前よりは随分と楽にはなったのですが、姉はやはり多忙な毎日を過ごす日々。
そんな姉に代わって、彼は仕事終わりによく私に夕飯をご馳走してくれるようになり、私の話し相手にもなってくれました。
長く離れていた分、話したい事も多かったのでしょう。
[私達が惹かれ合う]のに・・・[そう大した時間は掛かりませんでした]。
よくよく話を聞いてみれば、彼は子供の頃からずっと私の事を想っていてくれたようなのです。
[私も彼が初恋]でしたから・・・告白をされた時点で充分幸せを噛み締める事が出来ました。
けれど、彼はその後に[結婚を前提に僕と付き合ってほしいと言ってきた]のです。
流石にその言葉には驚きました。
まさか、冗談でしょう?、と・・・つい、彼を疑ってしまった程です。
だって・・・[今の私は目が見えない]のですよ?
将来の事を考えてみても、私はやはり普通の人とは違います。
日常生活を支障なく送れるようになれたとは言え・・・もし、子供ができたとしても[私は満足な子育てすら出来ません]。
それを彼に正直に伝えました。
『僕が君を支えるよ。僕は君が大好きで愛しているから2人で幸せになろう。』
[真剣な顔でそう言ってくれた]彼に・・・私はとうとう折れてしまいました。
なんの根拠もありませんでしたが、当時の私達は何があっても2人なら乗り越えて行けるという妙な自信があったのです。
その後、[彼は自分の生活を少しずつ変えていきました]。
彼の作る料理を美味しそうに食べる私の姿を見るのが好きだからという理由で・・・彼は今まで就いていた仕事を辞め、飲食店で基礎から料理を学び始めたんです。
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