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「[お肉屋さん]・・・と、言えばいいのかしら?」 「何故、貴方が疑問形で答えるのでしょう?」 顎に手を当てて悩んでいる姿の彼女は更に説明を捕捉していく。 「世間一般的にお肉屋さんと言っても、彼の場合は・・・[動物を解体、加工するのが主な仕事]だったと思います。」 「なるほど・・・ね。」 彼女の返答に納得したのか・・・漣は1人頷いている。 「どうかしたんですか、マスター?」 「・・・いや、ちょっとな。」 「あの・・・そろそろ失礼しても?」 難しい顔をした漣を見かねてライルが声を掛ける。 そんな2人に構う事なく、彼女はゆっくりとした動作で椅子から立ち上がった。 そして、外に向かって行く彼女に漣は最後にこんな質問を投げ掛ける。 「[貴方は今のままで幸せですか?]」 ライルには漣の質問の意味が分からない。 別に聞かなくても分かるだろうに・・・何故、今更そんな事を? そう思ったのかもしれない。 だが、漣は[()えて口に出して問うた]。 「えぇ、[私は今のままで充分幸せ]です。」 漣の質問に今日1番の笑顔を見せて答える彼女は、そのまま言葉を最後に喫茶店から去って行く。 カランッと、ドアに取り付けられたベルの音が店内に小さく響き渡り・・・そして、消えた。 「ねぇ?マスターは[なんであんな事を聞いたんですか?]」 結局、彼女が立ち去った後・・・客は誰1人として入っては来なかった。 今日はもう店じまいだと閉店作業をする漣に、ライルがポツリと呟いて先程の質問に対しての疑問を口にする。 「[あんな事]って?」 「彼女が幸せかどうかって・・・そんなのわざわざ聞かなくても分かるでしょ?」 「あぁ・・・その事か。」 少し拗ねた様子のライルに苦笑を浮かべつつ、漣は[ライルがいつの間にか持ち込んだ自分専用のマグカップ]にコーヒーを淹れて目の前に置く。 そのマグカップは、筆で達筆に[俺!]と書いてある[ライルお気に入りの大きなマグカップ]だ。 「まぁ、正確には・・・[今のままで幸せなのか]と聞いたんだがな。」 「・・・何がどう違うんですか?」 「彼女は妹だと言い張っていたが・・・[あの人は行方不明扱いになっているリリア本人]だ。」 「・・・・・・ハァッ?!」 漣の衝撃的な一言に、ライルは思わず大きな声で奇声を発する。 「えっと、あの・・・すみません、僕にも分かるように説明をお願いします。」 「まぁ、俺も最初から彼女を疑ってた訳じゃねぇよ。だがな・・・話を聞いていく中で[途中から彼女はリリア本人だと確信した]。」 「その根拠は?」 信じられないといった様子のライルは、漣を急かすように問い詰めていく。 「なぁ、ライル?お前・・・[彼女が告白された時の話]を覚えてるか?」 そう切り出すと、漣は自身にも用意したコーヒーを啜りながらライルに問う。
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