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「確か・・・結婚を前提にって言われて、最初は冗談だと疑ってましたよね?」 「・・・・・・[その後]だ。」 「えっ?」 「[よく本気だって分かった]な、彼女は。[真剣な顔で]って・・・[目が見えねぇハズなのに]。それにさっきも言ってただろ?不思議で魅力的な喫茶店に[見えてきました]ってな。」 「・・・・・・あっ。」 そう言われれば・・・確かにそうだ。 ライルは漣に指摘された事で、彼女の話がどこかおかしいという事実に気付く。 「ライルも[リリアは有名な女優]だって言ってたよな?そんな彼女の[無意識の演技]が多少崩れて素が出ちまう程に・・・[この店は居心地が良かった]んだろうよ。」 冷静に淡々と話す漣とは対照的にライルはオロオロと狼狽える。 ベテランの刑事と、その刑事に補導された若者のように・・・2人の態度は見事に対極だった。 「彼女は[ある日を境に]成りきってんだよ・・・[自分の妹に]な。」 「そんな・・・まさか。」 「[いくら探したって見つかる訳がねぇ]・・・彼女は[自分がリリアだと自覚してねぇ]んだからな。」 「・・・[彼女は無自覚]なんですか?」 漣の発する言葉を大人しく聞きつつ、ライルは疑問を口にする。 「まぁ、そうだろ。ここからは俺の憶測になっちまうが・・・大方、話に出てたハロウィンで[何かがあった]。じゃねぇと、[話の辻褄が合わねぇ]んだよ。それに、彼女は[無意識に自分の記憶を都合の良いように変えている節もあった]からな。」 「えっと、つまり・・・どういう事?」 「[逆]なんだよ、さっきの話は。」 「・・・・・・[逆]?」 「ハロウィンの日、[家でロイドを出迎えたのはきっと姉のリリア]だ。[その方が話の辻褄が合う]。だが、[さっきまで店にいた彼女は妹のリリスだって言ってた]な?」 「あの人がリリア本人なら・・・確かに[彼女の言動には色々と矛盾が生じます]ね。」 「[無意識に自分の記憶を都合の良いように変えて、辻褄と話を合わせてる]んだよ、彼女は。そして、[姉のリリアが妹に成りきってる]。不思議で魅力的な喫茶店に見えてきましたって言葉も・・・[これなら辻褄が合う]だろ?だとしたら、本当の妹・・・[リリスは一体、何処に行ったと思う?]」 質問を質問で返されたライルは早々に頭を抱えた。 「そんな意地悪言ってないで、マスターの話を早く聞かせて下さいよ!!」 「ったく・・・ねぇ頭を働かせて、少しは自分で考えてみろってんだ。」 漣はため息を吐きつつ、仕方なさそうにゆっくりと話し始めた。 「[あの2人は同じ男を好きになった]。そして、[姉はロイドが妹に告白しているところを見てしまう]。まぁ、ここまではいいな?」 「うん、大丈夫。」 「ロイドに愛されたいが(ゆえ)に・・・[彼女は妹になりたかった]んだ。」 彼を愛し、彼に愛されたい。 [容姿は同じ]なのに・・・[どうして、欠陥だらけの妹が選ばれる]のだろう? 私は、トップスターのリリア・ベルモンド。 誰もが私の虜になるハズなのに。 そう・・・[誰もが]。 「素人の目から観ても、リリアの演技力には目を見張るものがあった。それに、舞台女優としての名声もある。[2人は子供の頃、お互いが入れ代わっていた時期もあった]な?それなら・・・[長年一緒にいた妹を演じるぐらい訳ねぇ]だろ?」 そうして、[ロイドに自分が妹だと思い込ませようとした]んじゃねぇのか、と漣は語る。
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