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「でも、[彼女は本当にお姉さんを探しているように見えました]よ?まさか、それすらも彼女の演技って事なんですか?」 「リリアはロイドの愛を試したかったとか、その程度だったんだと思うぞ?だが・・・[結果としてリリスは行方不明になっちまった]な。」 「[一体、何処に行った]んでしょうね?目が悪いなら、1人で遠くに行くのは大変なのに。」 ライルのその言葉で漣は冷めてしまった自分のコーヒーを新しく淹れなおした。 そして、コーヒーを一口飲むと、再び口を開く。 「家にいた姉のリリアがハロウィンというイベントの中、[ちょっとした悪戯心のつもりで自身を妹のリリスだと偽った]。そして、散歩に出掛けて湖の側で休んでいたリリスを姉のリリアだと[思い込んだ]ロイドは彼女を[始末した]。ロイドには[自分を愛する人間は2人も要らなかった]んだろうな。」 「・・・・・・[始末]?」 漣が発した物騒な単語に、ライルはオウム返しで同じ単語を繰り返し呟いた。 「彼女は[2人を待っている間に眠ってしまったと言ってた]がな・・・[本当は彼女もロイドの後をつけてた]んじゃねぇのか?そして、[見てしまった]。慌てて家に帰った後、緊張が解けた彼女はそのまま気を失った・・・ってのが俺の見解だ。」 「なんか・・・とても複雑な話ですね。」 「なぁ、ライル?お前は俺が[さっき、彼女に何を聞いたか覚えてるか?]」 「えっと、マスターは[ロイドさんが転職する前の仕事]を聞いて・・・って、[まさか]?!」 「まぁ、[そのまさか]だろうな。ロイドには、きっと・・・[双子の見分けがつかなかった]。[だからこそ]彼女は・・・[いまだに妹に成りきってんだ]。」 『[お肉屋さん]・・・と言えばいいのかしら?』 『彼の場合は・・・[動物の解体、加工が主な仕事]だったと思います。』 「・・・・・・?!」 あの時の会話を思い出し、ライルは今更ながら背筋が凍っていくような感覚を覚えた。 あんな質問をしたという事は・・・漣は既に[そういう事]を考えていたという事だ。 あの時、[貴方の中に彼女はいる]と言っていた漣の言葉の[真の意味]は・・・[きっと]。 「民間人の義務として・・・[警察に通報した方がいいんでしょうか?]」 「まぁ、[普通は]そうだろうな。でも、[彼女は最後に言ってた]だろ?」 そうだ・・・彼女は店から立ち去る前に[満面の笑みで]言っていた。 [私は今のままで充分幸せです]、と。 結婚し、子宝にも恵まれ、今のままで幸せだと言うのなら・・・自分達さえ黙っていれば。 「それにな?俺達が今更、警察に通報したとしても・・・[意味がねぇ]よ。」 「なんで・・・そんなに冷静でいられるんですか?」 ライルが言葉を放つと、漣は換気扇の前でタバコに火をつけ、天井に向かって煙を吐き出しながら言った。 「まぁ、あれだ・・・[警察もそんなに馬鹿じゃねぇ]って事だ。それに、俺達が何か言ったところで・・・[彼女は俺達の話なんざ聞きゃしねぇ]だろうしな。ほら、よく言うだろ?」 [恋は盲目]・・・ってな。
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