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やがて招集がかかってグラウンドの所定の位置に腰を下ろす。応援席に目をやると、体育祭委員と捻挫した子が先頭でわたしの名前を呼びながらめちゃくちゃに旗を振り回している。嬉しくてガッツポーズをかえす。
相変わらず青チームとの差は縮まらないままだ。
「香坂、右と左どっちがいい?」
「えっと、右足で。」
自分の左足とわたしの右足を赤い紐で縛ると、
先輩は妙に気合いの入った声音で、
「いいか、出るからには一位以外ないからな」
と立ち上がってから、わたしに手を差し伸ばす。
「あったり前です。勝ちますよ、先輩!」
その手を掴みながら勢いよく立ち上がる。
ーーけど、これ、は…。
「ーーおい、ちょ、大丈夫か?」
一歩よろけたわたしを先輩が支えてくれる。
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