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放課後、部活中。
青春真っ盛りを丸出しにした野球部やサッカー部が校庭で雄叫びのような掛声をあげ、学校の外周を陸上部が前を向いて走っています。
綺麗に列をなして走る姿はまるでどこかの軍隊のようにも見えて、隊列の後方でぴょこぴょこと跳ねる短めのポニーテールが校門から見えなくなったタイミングで掛けられた声に、手を止めて眺めていた視線を目の前の親友に向けました。
「でも、付き合うなら相手のことを真剣に好きになるべきでしょう?なら、まずは好きになれるようにある程度の理想像を抱くことは必要だと思わない?」
「だからそもそもねぇ、希美のその【ある程度】が高すぎると思うのよぉ。」
いま、理想が高いと言って肩を竦めた彼女の名前は初音雪菜。小学生の時からの友人で、他にもクラスメイトなどの友人は居ますが、雪菜は私のことをよく知っている、唯一の親友です。
雪菜は恋愛大好きな子で、人の恋愛話を聞くのも好き、話すのも好き、勿論自分だって素敵な恋をしたいという、恋に恋する女子高生をものの見事に体現したような子です。
廃部寸前の家庭部に入部したのは周りに女の子アピールをする為だそうで、よってあまり裁縫やらには興味がないらしく、残りの一名がなかなか部活に参加出来ない現状、雪菜と二人で編み物か料理かをしながら繰り広げる会話――というには一方的な彼女の独壇場ですが、大概が彼女の恋愛話やどこからか仕入れてきたクラスメイトや先輩後輩の恋愛事情を私がひたすら聞いているだけになります。
話を聞く分には構わないのですが、こうして時々、私の事にフォーカスを当てようとしてくるのは勘弁してもらいたいものです。
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