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「ほんと勿体ないなぁ。私が希美だったら三股くらいすると思うなぁ。」
「それはちょっと…普通に最低だと思うのだけれど。」
眉を寄せて抗議しますが、「冗談だってぇ」とあっけらかんと笑う雪菜が実際にそんなことをする筈がない故のものです。…いえ、するしないというより、そんな器用なことをこの子が出来ると思えないというだけではあるのですが。
「でもさでもさ?三股はしないとしても、こーんなに可愛いのに、誰とも付き合わないなんて勿体ないよぉ。この間雑誌で見たんだけどね、学生のうちに少しは恋愛経験しといた方が大人になってから変な男に捕まらないって書いてたもん。」
「それはその人の持論でしょう?」
「そうかもしれないけどぉ…あっ、ほら、いざ誰かと付き合いたいってなった時に、希美の理想が高過ぎるって知られてたら面倒じゃないかなぁ?」
恋愛に生きる雪菜ですが、ぽんと手を叩いて恋愛を勧める彼女が私の事を気遣ってくれているのは分かっています。…分かっているつもりですが、
「そうなるのだとしても、今はまだ、時期尚早というものよ。」
何度も同じ罠にかかる動物が居ないように、人間だって学習する生き物なのですから。
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