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「叶先輩じゃないですかぁ。部活サボって大丈夫なんですかぁ?」
「今は休憩中だから大丈夫だよ。」
雪菜の問いかけに人懐っこい笑顔を向ける彼の名前は三年生の叶先輩です。サッカー部のエースストライカーで、主将を務める爽やかスポーツマンだと周りから称されています。
光に反射してキラリと爽やかに光る白い歯同様に白い肌は、夏になると太陽の下で浅黒く焼けて青春感を醸し出します。黒髪のてっぺんが薄い茶色になるのも日に当たりすぎるせいなのでしょう。走り込みや筋トレを欠かさない体は引き締まっており、顔に流れる汗をシャツで拭った時に見える腹筋はなかなかのものでした。
昨年、サッカー部が全国出場したのは叶先輩の活躍だという話ですが、彼の凄い所は部活動に留まりません。
私たちの通う高校は文武両道をモットーに掲げ、スポーツと競うように勉学にも力を入れている為に県下ではそこそこレベルの高い高校ですが、上位成績者が張り出されるテスト結果の表に叶先輩の名前を見つけたこともありました。
だからといって性格が非常にねじまがっているということもなく、爽やかな見た目通りにあっさりとした性格で他生徒からの人望も厚く、密かにファンクラブが存在しているとかいないとか。
昨年、生徒の投票で選ばれる生徒会役員に推薦されたらしく、叶先輩の人気ぶりなら納得も出来るというものでしたが、サッカー馬鹿を自称する彼は、どうせやるなら練習時間が削られないサッカー部の主将になりたいと立候補を辞退したとか。
要は何が言いたいかって、叶先輩は私の理想に限りなく近い完璧人間なのですが、そんな叶先輩から先日、何故か告白をされました。
「違います。叶先輩のことではありません。」
もちろん、例に漏れずお断りをさせていただいたのですが。
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