書堂

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「一さん?」 歩の可愛らしい声に、僕は振り返る。 「どうされたんですか? 今日はお休みのはずじゃ……」 少し前まで、名前も知らなかった彼女。 でも、今は知りたいと思う。 彼女のことを…… 「歩さんは、どうしてこの前言い淀んだんです?」 「えっ?」 「それが気になって……なんだか、とても辛そうだったから」 歩の表情に浮かぶ感情は、悲しさなのか、寂しさなのか。 それとも、痛みなのだろうか。 僕は、彼女の感情に名前をつけることはできなかった。
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