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23歳で妻と結婚し、古くから両親とも顔見知りだった妻は 翌年にはなんのわだかまりもなく2世帯住宅の購入に賛成してくれた とは言っても20代前半で大規模な2世帯住宅は到底無理な 話であったが両親も多少の蓄えはあると購入を決断した 父は総合建設会社、ゼネコン社員で現場管理をしており 若干の畑違いであるが建築中、隙をみつけてはココへ通い 自らの居住空間においてはあれやこれや注文をつけていたが 工場で作ったパネルを現場で組立るパネル構造で 細かい変更など対応できるはずもなく 「注文住宅にすればよかったな」と財布の具合も考えてくれと 思う発言をしていたのを思い出す そしてあの日、あの日がやってくる 新居引越し前日、私達はホテルに泊まったのだが 両親は最後の思い出にこの家で過ごしたいと 荷物の運び出しも終わり、手荷物以外何もないガランとした 実家で過ごしたのだった そして入居日当日、昼前には合流して一緒に新居で寿司でもと 先に到着した私達は両親の到着を待った あれはお昼をちょっとまわった頃、 両親の到着より先に届いたのは、寿司桶と事故の連絡だった 慌てて病院に駆けつけた時には既に息を引き取った後で 警察の話では即死だったらしい
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