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あらかた手続きが終わり家に帰った頃には日をまたいでいた そして今でも脳裏に焼き付いている、主を待つ新居の和室に 障子を透過した月明かりに照らされた寿司桶が2つ 私は怒りと落胆、不条理と悲しみ 人間にこれほど同時に感情が共存できるのかという程に狂った そして私は嗚咽しながら素手でその寿司を貪り食い 空になった寿司桶を壁に叩きつけ、「父さん」「母さん」と叫んだ 気がついた時は朝だったが、寿司桶は片付けられ畳に散らかっていただろう 米粒や寿司ネタもそこなはなかった 変わりに何も知らない娘が傍らにいた、 そっと抱きしめ、また泣いた 「パパ、どっかいたいの?」 そんな娘も今じゃ父を怪訝に扱う立派な娘に育ちましたよ、とおさん そう思いながら、玄関で革靴に足を通す際ちょっと和室の襖を 開けてみた、いるはずもない両親を思い
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