猫俣 克雄の場合

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「ところで、その満月の日が分からないのですが……。あと何時から……?」 恐る恐る聞いてみれば。 ──それはその日の昼にタマが行って教えるニャ。タマは忙しいのニャ。それまで自由に過ごせばいいニャ── と言うではないか。うっかり予定を忘れることの多い俺としては嬉しい。自由にしていいって言うし。 ──克雄。ちょっとタマの目を見るニャ── 金色のような、黄緑にも見える黄色い目を見つめた。と同時に気だるさを感じた。 ──これでタマと克雄は近くなったニャ。友達ニャ。でも逃げようとしたらこの猫たちに襲われるから注意するニャ── え?呪いの刻印なのコレ? 「……大丈夫です逃げませんから……。この街からも出ないようにしときますね……」 ──もっと友達のように話していいニャ── 「……分かったよタマ。来月迎えに来てくれるんだね。その時はよろしくね」 と言うと、満足そうに目を細めゴロゴロと喉を鳴らした。 ──じゃあそろそろ帰るニャ。克雄も乗って行くニャ?── と神輿(みこし)もどきの乗車に誘われたが丁寧に断った。 タマの号令で猫軍団たちは、また掛け声とともに夜の闇へと消えて行った。
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