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犬山家では学業を修めると家業に就くのだが、拙者は早くじじ上に追い付きたく高校を卒業と同時に働き始めたのだ。
無論、家の者達には大学へ行けと言われたが、拙者は何よりも社会勉強をするべきと考え、学業を疎かにして遊びだ女だと騒ぐような輩とは一緒にされたくなかったのだ。
地元では家の者達やじじ上に甘えてしまいそうなため、この街に一人で赴き就職活動をしたのだ。
初めは苦労したものだ。拙者のこの話し言葉は現代の者達には不可思議と思えるようで、面接では良くて笑われ、酷い時には「ふざけるな!」と激昴されたものだ。
武士である拙者は、このありのままの姿が真の姿であると言うのに。
人間とは不思議なもので、同じ人間でありながら少しでも人と違うと攻撃をする哀しい生き物なのだ。
そんな輩を『未熟者めが!』と腹の中で思ってしまう自分が未熟者なのかもしれないが。
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