ケモノたちの狂想曲

猫俣 克雄の場合

俺の名前は猫俣克雄(ねこまたかつお)。某国民的アニメに出てくる少年と同じ名前だから、みんなすぐに名前を覚えてくれる。

俺自身はごくごく普通の21歳学生だ……と思っているけど、周りからは天然だの抜けてるだのアホの子だの言われてしまう。心外だよ！アホの子ってなんだよ！

そんな俺の１ヶ月ほど前の休日。

昼近くに目を覚まし、前の晩に布団に入ってから猛烈に食べたくなったパンを買うため近くの商店街へと足を運んだ。

この商店街はとても小規模で近くに駐車場もないため、主な買い物客はご近所に住んでいる年配の人たちが多い。秋晴れの日とはいえ冬も近づいてきているため、道行く人は厚着をしている。

この小さな商店街には大きなケヤキの木があって、それがこの商店街のシンボルのようになっている。
街路樹として植えられているケヤキ並木だが、背の低いケヤキは紅葉で紅く染まっている。
だけどそのシンボル的な一番大きいケヤキだけ黄色い葉っぱを輝かせている。

その中にある隠れた名店｢まちのパン屋さん｣には老若男女を問わず人が訪れる。
何を食べてもハズレのない店だが、一番人気はクリームパン。甘すぎずしっとりとしたクリームがたっぷりと入っている。もちろんこれを買いに来た。