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「━…!!」
夢を見ていた。
気がする。
今日、と言うか日付変更線を跨いでいるのでとっくに昨日の事なのだが、
俺は業務報告書をタイプして、自宅から署へFAXを送り終えた所でついうとうととしてしまったらしい。
いや、嘘だ。
目を閉じて物思いに耽っていただけだ 。
半機械の俺には意識の隔絶は起こり得ない。
これは無意識の演技だ。
俺はまた自分に嘘をついた。
まだ人間のふりを続けたいらしい。
夢の中で妻の名前を呼んだ。
それも嘘だ。
妻の名前はとうに忘れた。
泣きたい気分だが、
もう俺は涙を流す事さえ出来ないのだ。
俺はあてどなく
真夜中の町を徘徊する。
一応公務の時間外だが、他にする事も無いので
家の近所をただ徘徊している。
今日は一段と雨が強い。
まさか重金属酸性雨の降る深夜の町をオトコノコ達がノコノコと駆け回っている筈も無いだろう。
「ど、ドロボー!!」
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