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振動したスマホを開くと、舞からメッセージが届いていた。
『絶対告白するんだよ!』
そう言われても、舞が無理矢理二人きりにしようとするからぎこちない感じになっちゃったんだけど……。こんなことなら、むしろ教室で話を聞かれていた方が勢いにのって告白できたかもしれない。
「どうした? ため息なんかついて。さっきなんか言われたのか?」
「い、いえ、なんでもないです!」
気がつかない間にため息をついてしまったらしい。ちょっとした変化に気づいてくれるのがいつもは嬉しいんだけど、今は別だった。
「そうか。もうすぐ卒業だからな。何もないなら別にいいが」
何もあります。たくさん。言いたいこと、伝えたいことはいっぱいあるんだから。
窓から流れる景色は見慣れたもので。だけどきっともう見られなくなる。
「……ねえ、先生」
「うん?」
いつものようにちょっとくぐもった返事も。スピーカーから流れるBGMも。
「先生は私が卒業したらどうするんですか?」
「どうって……」
「先生は、先生だからさ、また新しい生徒乗せるんですよね」
あっ、意地悪な質問。だけどわかってるんだ。私は、ウチの学校が新しく始めたシステムのおかげで普通の高校生活を送れたんだってこと。私が卒業すれば、自然と次の新入生が期待と不安を胸にココへ通うことになる。先生と一緒に。
「……そうだな。まあ、そう、なるよな」
珍しく歯切れの悪い言い方だった。だけど、それが逆に私の心を少し、ほんの少しだけ締め付けた。新しい子に、先生はどう接するんだろう。
先生は、ハンドルの奥のホルダーに置いたコーヒーへ手を伸ばす。その仕草も、もう……。
「先生。私、寄りたいところがあるんです」
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