ブラックコーヒーに杏仁豆腐を添えて

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ふかふかのベッドに体を預ける。ドライヤーをかけたばかりの髪が横に広がった。天井にはただ白いばかりのタイルが広がる。 「ありがとう、か」 ……って、ありがとうってどっちなの? 「僕も君のことが好きだよ」なのか、それとも「気持ちは嬉しいけど」なのか……。結局、「ありがとう」って言われたきり話は別の話題へと移り、いつものように家に送ってもらってお別れとなってしまった。 「はぐらかされたのかなぁ」 それとも本気にされなかった? 告白の仕方がまずかった? 『先生はどんな女性が好みなんですか?』からの『私じゃダメですか?』からのダメ押しの『私、先生のことが好きだよ』 ……通じると思うんだけどなぁ。でも、ためらいなくにっこり笑顔で「ありがとう」って。「ありがとう」って。全然動じてないじゃん。 先生モテるからなぁ。心が動く告白にならなかったのかもしれない。 枕をぎゅっと抱いて寝返りを打つ。 ラブレターっぽい封筒も何度も見たことあるし、教室では毎日先生の噂話でいっぱいだ。最後には私が毎日先生に送り迎えしてもらってるってうらやましがられるのがちょっと、ほんのちょっと嬉しいけど。 また体が反対に向く。 ってか「ありがとう」ってなに? YesかNoかハッキリしてくれないとずっと気持ちが落ち着かないじゃん。明日も先生に会うのに。 相変わらず鼓動が早い。なんだか呼吸も浅いような。 「……もう寝よう」 手近に置いたリモコンで電気を消すと、うやむやな気持ちのまま布団に潜り込んだ。
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