第10章 俺にこんな隠された(微妙な)力があるだと!? 

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「二人だけのパーティーなので単純な知識量では不利ですね」 「個々の力を見るっていうより、パーティーの団結力を見ている感じの試験だな」 俺たち以外のパーティーは五人か四人で組んでいる所ばかりだ。数的不利なのはウチだけか。 親指の爪を噛んでいると、隣でルドルフがニヤニヤしていた。 「なぁシルヴィア。俺の所のパーティーは全員で四人だ。お前の分だってちゃんと空いてるんだぜ?」 「大丈夫ですよタケシさん。二人の力で乗り越えたあの時を思い出してください! 私たちならできますよ」 無視はやめてあげて。ルドルフが俺のことをむっちゃ睨んでるから。 視線を逸らして気まずい空気から逃げたいとか思っていると、シグリは注意するべきことを話す。 「注意して欲しいことはパーティー全員に同じ得点が付くということだ。誰かが間違えれば全員が点数を引かれるし、正解すれば全員の点数が上がるというわけで」 「人数が多いことはメリットだが、その分リスクを背負うというわけですね」 「ええ、その通りです。ギルドに入ってからもパーティー関係は重く大切にしなければならないと私は考えています。一人の失敗は全員の責任。誰も欠けることなく、一丸となって壁を乗り越えるべきだと思います」 「騎士団も同じですよ。一人でも乱れてしまえば統率が崩れる可能性だってあります。団結する大切さは私もよく理解しています」 シグリとカーティスの会話になるほどと納得する。 二人の求めている人材が手に取るように分かる。どういう人間を採用しようとするのか、ここにいる者達のほとんどが察しただろう。 「ああ、それと試験の問題は私が考えました。急いで作ったので雑で申し訳ないです」 「たった一日で作って来たことに驚きましたよ。しかも内容は自分が知っていて欲しい知識が多く、難しい問題までバランス良くできていました。誤字脱字、不備もありませんでしたよ」 英雄カーティスが出す問題に周囲が息を飲み込む。異世界の文字もまだ手帳を見ながらでした読めない俺に、カーティスの出す問題が解けると思えない。 いろいろと不安を抱えながら、俺たちはギルドの受付の人たちに大部屋へと案内される。 部屋に入れば紫色に輝く魔法陣が綺麗に均等に並べられ、真ん中には紙とペンが置かれている。
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