第4章 派手な魔法より下級魔法で無双する方がイケてる。
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第4章 派手な魔法より下級魔法で無双する方がイケてる。

―――昨日の出来事は全て忘れよう。 タケシは宿屋の食堂で温かいミルクを飲みながら朝食を楽しんでいた。清々しい表情で窓から外の景色を眺め、今日も一日いい天気になるなと思いながらニコニコ笑顔を浮かべている。 今日はギルドに行って初心者クエストの達成の報告をする予定だ。報告した日には俺も晴れて銅プレートを手に入れることができる。我ながらここまでよく頑張ったと自分で褒めることができる。 「おかわりのパンをお持ちしました」 「ありがとうございます」 柔らかくて温かいパンをもきゅもきゅ言わせながら食べる。 ギルドに所属することができたらクエストを受けることができるようになる。これで金銭面の問題は……解消できたとは言えないが、解消方法を得たとは言えるだろう。もちろん自分ができる範囲で危険が無いクエストを選ばせて貰うが、しばらくは贅沢な買い物はできないだろう。初心者クエストで思い知ったからね。危うく王都の外に出たくないレベルのトラウマを植え付けられるところだった。最弱魔物のミニゴブリンごときに。 「ミルクは?」 「あ、お願いします」 ミルクをもう一杯貰うことにする。空のコップを渡し、注いでもらう。 キャンベル村ではいろいろあったが、全て忘れることにする。後ろめたい出来事もなかった。うん、何もなかった。 「はい、どうぞ」 「ありがとうございます」 お礼を言いながら温かいミルクを飲む。そこで俺は気付くことができた。 ――先程から俺の傍に居たのは宿屋のオッサンではなく、シルヴィアということに。 「ブボバッ!!??」 口に含んでいたミルクを盛大に吹き出した。 シルヴィアの可愛い笑顔に容赦なくぶっかけられるミルク。げほげほっと咽ながらタケシは立ち上がる。 「な、何でお前がここにいる!?」 「ベトベトになりましたぁ…」 ミルクで顔から服まで汚れている。また王道展開でありそうな描写だが、そんなことは気にしていられない。 おかしい。俺は完全に逃げ切ったはずだぞ。慣れない裏道を使い、そして迷い、夜になって帰って来れた。自分を見失うくらい走ったはずだぞ。 ここがバレているはずがないと思っていたのに、どうして俺の前に座っている!?