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端的に言うと、俺が『見た』情報から自意識とは別のところで超高 速で推理をしていて、その思考の結論を『聴覚』で受け取っている、という仮説を立てて、俺の『声』の内容を検証する、という形を取っている。 視覚で受け取ったものを聴覚と共に感じる、と言うのは、『共感覚』という現象としてありうるのだそうだ。 ……もっとも、共感覚というものは大体、もっとあやふやなものとして表れることが多く、若干無理のある考え方だとは彼も認めているが。それでも霊の存在よりは筋があり、対応もしやすいから今はこう考えている、とこういう事らしい。 「……ベトナム語、分からないんだよね」 「は、はあ……」 「まあやっぱり君の思考として辿るなら、あくまで君の認識としては霊の声なんだから、ということを思考の過程で踏まえて、律儀に『声』としてはそう言う感覚として発生させた、とも考えられるけどさ」 ああ、なるほ……ど? 今回の場合、そういう推論になるのか。 「だから、なんとなくそれっぽいものを出鱈目に聞かせた、ならまだ分かるけど、君が知らない言語を正しく君が聞いて見せた、となるといよいよ分からなくなる」 そう言って、山南さんはひどく困惑した目で俺を見た。 「……どう聞こえたか、再現出来る?」 尋ねる山南さんの声は、恐る恐る、という風にも見えた。 俺は……。 「……。え、ええと、すみません、よく思い出せません」 しばらく脳みそを振り絞って思い出そうとしてみたが、駄目だった。 何せ俺の『声』はいつ聞こえるか、俺にも制御出来ないし、だから急に、一度だけ聞こえて、そして、驚いたあと落胆して……で、刻み込んでおく心の余裕など無かったから。
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