呼子神

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「亜実、ちょっと寄り道していかない? 駅の裏側に新しいカフェができたんだって。ホットケーキがおいしいらしくてさ」  気だるい月曜日の学校が終わって、がやがやとした教室。その中で一人黙々と帰りの支度をしていると、佐奈に声をかけられた。申し訳なく首を横に振って、ごめんと手を合わせる。 「寄り道はなるべく避けたくて。休日にしない?」  昔からの友人であれば事情を知っていたり、そうでなくても放課後の誘いには乗らないことを把握してくれていたりするのだけど、クラスが変わってまだ一ヵ月の中でできた友人。こういうとき、断るのは少し気が引ける。でも、毎日の日課はそうやすやすとおろそかにはできない。 「わかった、また今度誘うよ。じゃあね」 「うん、ごめんね。ばいばい」  怪訝に思いながらもうなずいてくれた佐奈にもう一度謝って、足早に学校を後にした。
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