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一気に1階から飛び出してきた人質達に、地上の警察官達はパニックになった。野次馬と警官がもみ合う中、マスメディアの報道陣達も加わって大騒ぎになっている。
「乗り込め~!」と本所警察署長が叫んだ。
一気に非常階段と室内階段に駆け寄る警察官達。ハァハァと息を切って2、3階へと駆け上る。
辿り着いた武装警察官達が5階テナントの扉を開けると、
「ご苦労様です。ここからは公安調査庁、調査第二部で引き受けますので、よろしくお願いします」
と5人のスーツを着た男たちが一斉に「法務省」の手帳を見せた。
それを見た警察官達全員がサッと敬礼をする。
「署長には私から話しますので皆さんはお引き取りください。容疑者はこちらで必要事項を聞き取り後、警視庁に引き渡すことになります。ご協力をありがとうございました」
リーダーと思しきその男は、部下たちに犯人を担架に乗せるように指示をしている。
「動けないようにガチガチに縛れ」
「ううっ!・・・んんっ!」
犯人の男は目を見開いて苦しんでいた。口にはタオルを噛ませてテープが貼られている。
「斎藤さん、病院はあそこでいいですか?」
リーダーは斎藤と呼ばれているようだ。
「ん~、そうだな。救急が行くと連絡しておいてくれ」
「ハイ」
「んん~んっ! うう~ん!」
「心配するな、ちゃんとした医者だよ」
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