1・ゼロ部隊

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「お疲れ様、メイヨウ。行きましょう」 「おつかれ。氷室(ひむろ)さん、これ調子いいよ」  とライフルを二人いる男の一人に渡す女。 「M1500、豊和工業製。ヘビーバベルの割りに切り回しがいいわ」  氷室と呼ばれた男はライフルを何かの楽器のケースに仕舞い込んだ。  ビルの下まで降りると1台のシルバーのセダンが待っていた。銃の入ったケースを背負った氷室だけがそれに乗り込むと発車した。      信号の下で待つ女ともう一人の男。 「俺達ゼロ部隊って呼ばれているそうですよ」 「何それ?」 「所属番号も組織図にも存在しない」 「だから0(ゼロ)?」 「はい・・・」 「カッコいいじゃない」 「そうですか? 何かいやだなぁ」 「どうして?」 「だって子供にも言えないし、名刺も無いし」 「でも調査第二部、第四部門でしょ?」 「それは一応であって、自分で思っているだけみたいな」 「いい給料を貰えてるんだから、関係ないじゃん肩書きなんて」 「そうですかぁ?」 「男って、そういうの気にするよねぇ」  などと話していると黒いハイエースが目の前に止まった。中が見えない真っ黒のオートスライドドアが開いた。 「お疲れ様、メイヨウ」 「ただいま、マーメイ」  先ほど無線で通信していたマーメイと呼ばれた女だろう。ニッコリと顔を出したと思ったら、メイヨウと同じ顔だった。
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