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「お疲れ様、メイヨウ。行きましょう」
「おつかれ。氷室さん、これ調子いいよ」
とライフルを二人いる男の一人に渡す女。
「M1500、豊和工業製。ヘビーバベルの割りに切り回しがいいわ」
氷室と呼ばれた男はライフルを何かの楽器のケースに仕舞い込んだ。
ビルの下まで降りると1台のシルバーのセダンが待っていた。銃の入ったケースを背負った氷室だけがそれに乗り込むと発車した。
信号の下で待つ女ともう一人の男。
「俺達ゼロ部隊って呼ばれているそうですよ」
「何それ?」
「所属番号も組織図にも存在しない」
「だから0(ゼロ)?」
「はい・・・」
「カッコいいじゃない」
「そうですか? 何かいやだなぁ」
「どうして?」
「だって子供にも言えないし、名刺も無いし」
「でも調査第二部、第四部門でしょ?」
「それは一応であって、自分で思っているだけみたいな」
「いい給料を貰えてるんだから、関係ないじゃん肩書きなんて」
「そうですかぁ?」
「男って、そういうの気にするよねぇ」
などと話していると黒いハイエースが目の前に止まった。中が見えない真っ黒のオートスライドドアが開いた。
「お疲れ様、メイヨウ」
「ただいま、マーメイ」
先ほど無線で通信していたマーメイと呼ばれた女だろう。ニッコリと顔を出したと思ったら、メイヨウと同じ顔だった。
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