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2・男の聴取
タワーマンション、レナルド所沢パレスでの事件から二年近くになる。中国共産党の対日工作員として在日中国政府の養成機関で育てられた双子の孤児、麻美(マーメイ)と美友(メイヨウ)。二人は敵対していた公安調査庁の協力のもと死亡したことにして、現在は国家公務員として法務省 公安調査庁 調査第二部 第四部門に籍を置いていた。公安警察と違い逮捕などの司法警察権を有しない公安調査庁が、昨今の対外的危機に対応する手段として考案し、試験的な形で始動しているのが冒頭でも言われた「ゼロ部隊」である。
部隊と言っても実質的にはマーメイとメイヨウの二人がいなければ成立しない特殊任務小隊である。双子と世話役の調査官3人の計5人だけであった。第四部門の担当は中国、東南アジア、ロシア、欧米にまつわるトラブルである。つまりほぼ世界の主要国家全域であった。しかし近年の中国の動きに対し重点的に目を留めているのが実情であり、中国政府が育てたマーメイとメイヨウを得たことにより、その色はより濃いものとなっている。今回の篭城事件もそんな匂いが立ち込める事件であった。
「篭城した奴の聴取に行くぞマーメイ」
千代田区霞ヶ関1丁目1番1号の中央合同庁舎第六号館A棟に法務省本省や最高検察庁と共に公安調査庁のオフィスがある。地上21階、地下4階のいかにもといったビルである。
「え? もういいの?」
と斎藤に驚くマーメイ。
「麻酔が切れて苦しい時の方が早く済ませたいから色々とゲロする」
「なるほどね」
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