第1章 突然そんなこと言われても。

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やめていただきたい。かなりリアルな映像が頭に浮かんでしまう。 「そうでしたか・・・お疲れのところ、今日はお越し頂いて大変恐縮です・・・」 「あ~そんな堅いこと言わないでよぉ!!もっと砕けてお互いを知り合おう!!側で見るとさらに可愛いなぁ!えーっと・・・」 「だい、じょう、じです」 「そ~大城寺さん!!ねぇ、女性の目線から医者ってどう?」 「立派なお仕事ですよね。知り合いたい女の子はたくさんいると思いますよ。」 「ほんとぉ~?なんかさぁ、医者ってチャラいとか女癖悪そうとが、マイナスな印象しか持たないみたいなこと最近も言われてさぁ」 「高給取りですもんね。まぁ、確かにそう言う人もいるかもしれませんけど・・・」 「大城寺さんはどう?やっぱりそう言うイメージかな?」 「私はそんな風には思いませんけど・・・」 「俺なんかはさぁ、すごく純粋だし、付き合った女の子に尽くすタイプなんだよ!デートの度にプレゼントしてあげるし、記念日にはサプライズも欠かさないし」 「素敵!!京極さんって、かなりモテるんじゃありません?」 もう自棄だ、サービス全開でおもてなししてやる。 「これが全くなんだよ~!!好きになる女の子は皆もう彼氏がいたり結婚してたりするし・・・」 「京極さんそんなに素敵ですもん、好きになるより、なって貰う方が多いんじゃないです?」 「ん~・・・」 私の台詞に京極は、悩ましげに唸った。 「確かに、寄ってきてくれる女の子はいるんだけど・・・そう言う子と付き合ってみてもさ、なんかときめきが足りないんだよなぁ・・・」 この男性に好意を持ってあげたすべての女性達へ。 あなた方は本当に慈悲深い、例え誰かが称えなくても、私だけは全力であなた方を称えます。 「理想が高いんでしょ~?!もう少し妥協しないといつまでも独りですよ!!」 「もぉ~大城寺さんうまいなぁ~!!今日初めて会ったけど、好きになっちゃうかも!!」 「あらぁ~、も~皆にそう言ってるくせに!!」 こんな時私は自分の性質を呪う。 どうでも良い事や相手に対して、何故こんなにサービス精神が働いてしまうのか。 スナックのホステスと客のような会話をしつつ腕時計を見る。彼が隣に来てまだ5分しか経っていない。 疲労感としては、完徹してレポートを仕上げた時のあれと似ている。たったの5分で。
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