序章

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 十数分後、鉄血駆逐艦隊を撃滅して喜声を上げるノーフォークに対し、サフォークは冷静に辺りを見回す。 「うふふ、やっぱりこのルートには伏兵がいるようね。探しているのは私達のこと?」  右側から女の声がした。 「!! 右舷方向に敵大型艦発見! あれは……鉄血の新鋭戦艦!?」  そこには銀髪に赤いメッシュの新鋭戦艦と思しき大型艦がいた。 「ノーフォークちゃん、戦闘準備!」 「うぅ──」  サフォークの号令が掛かり、ノーフォークは怯えた声を上げながらも主砲を構えた。 「あら、たかが巡洋艦2隻で向かってくるとはね……ふふふ、楽しませてもらうわよ」  敵の大型艦も2隻に主砲を向け、海戦が始まろうとしたその時── 「『たかが巡洋艦2隻』じゃありませんわ。ロイヤル艦隊フッド、プリンス・オブ・ウェールズ、戦闘開始! さぁ、優雅に参りますわ!」  アドミラル級巡洋戦艦フッド、キングジョージⅤ級戦艦プリンス・オブ・ウェールズが援護に駆けつけた。 「フッド姉、来てくれたのね!」  思わぬ増援にサフォークは歓喜の声を上げる。 「貴女達よく頑張りましたわ。あとは私達に任せてちょうだい! 目標・鉄血艦隊旗艦ビスマルク、一斉射撃! 王家の栄光の為に!」  フッドはサフォーク達を褒め、ビスマルクと思しき大型艦に主砲のMarkⅠ38.1cm砲を向けた。 「王家の栄光……か。その実力で私を満足させられるかしら!」  ビスマルクと思しき大型艦は目標をフッドに改め、砲撃を開始した。 「あら、その程度の弾幕では当たりませんわよ?」  フッドは不敵に笑いながら大型艦の弾幕を華麗なステップで避け、主砲で砲撃した。  大型艦はその砲弾を戦艦とは思えない速度で回避したが、数発は避け切れずに対空砲を直撃した。 「凄い火力ね。だが……私の前では無力よ!」  大型艦は今度は主砲ではなく魚雷を発射してきた。 「サフォークちゃん、ノーフォークちゃん!」 「「はい!」」  フッドの意図を汲みサフォークとノーフォークも魚雷を発射し、敵の魚雷を撃ち落した。 (おかしい……)  ウェールズはフッド達の海戦を見て、違和感を覚えた。 (あの大型艦、戦艦にしては主砲が小さ過ぎるし速過ぎる……。まさか、あの大型艦は囮……? だとしたら……!)  ウェールズは敵艦隊を注視した。すると、艦隊の最後尾を一隻の大型艦が航行しているのが見えた。 (見つけた!)
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