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汚れた食器をざっと水ですすいで自動食器洗い機に並べる。本当は洗剤で下洗いした方がいいのだが、その一手間がとんでもなく億劫に思える。いちいち皿を重ならないよう立てるのがうまくいかない。蓋を閉めようとすると、箸がひっかかって閉まらない。
思わずうなり声をあげて、強引に閉めるがストッパーがかかってスイッチが入らない。汗が噴き出してきた。その時、洗剤を入れるのを忘れているのに気づいた。再び蓋を開いて箸の位置を直し、洗剤を入れ…、やっと動き出した。全自動といいながら、この機械を入れたらかえって面倒になった気がする。
なんて細々とした手間がかかるのだ、家事というのは。素面の時でも億劫なその一つ一つが、酔った頭ではとんでもない手間暇に感じられる。だが、それを億劫がっていたら、すぐ“それ”の説教がとぶ。とにかく表面を取り繕って、とりあえず文句を言わさないのが肝腎だ。
肝腎、か。
そそくさと自分の部屋に戻りながら、苦笑する。肝腎、といえば肝臓と腎臓。肝心とも書いて肝臓と心臓。どっちにしても、相当痛めつけているのは間違いない。ある時期から、血液検査を受けても結果の数値を見なくなった。確か、一度医者にγ-GTPの値が正常値の上限の3倍だと聞かされたような記憶がある。
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