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改めて鏡の中の自分の顔を見る。頭がはっきりしてきたような気がする割に、心なしか顔が赤くなってきたようだ。早く家を出た方がいいだろう。
2本の空のロング缶を鞄に詰め込み、階段を降りる。
玄関で靴べらも使わず革靴に足を突っ込むと、“それ”がハンカチを持てと持ってきた。受け取って、そそくさと外に出る。家を出て、やっと一息ついた。
これから、また長い一日が始まる。
缶コーヒーの自動販売機のそばの缶専用のゴミ箱に、鞄に入れてきた2本のチューハイのロング缶を捨てた。うっかりすると、部屋中に缶がゴロゴロなんてことになる。部屋のゴミ箱はすぐいっぱいになり、机の引き出しにもタンスの引き出しも、開けてみると空き缶だらけ、ということになり、それを自分で忘れていてシラフの時にひょいと開けてぎょっとしたことがある。
もし“それ”が部屋に入ってきて手近な引き出しを開けてビールだのチューハイだのの空き缶がごろごろしているのを見つけるだろう。ちょっと前だったら、ストレートの焼酎の空瓶がやはりごろごろしているのが見つかっただろう。
仕事を辞めて無収入になった人間とすると、金をかけずに時間を潰す方法をいろいろ考えないといけない。
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