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 暇つぶしにパチンコする人間は多いのだろうが、そんなムダ金を使う余裕はない。勤め出してから間もなくやったことがあるが、ビギナーズ・ラックはなくてあっという間に一万円スッてしまい、呆然としたことがある。パチンコをやり慣れている人間にはどうってことない金額なのだろうが、これ稼ぐのに何時間働いただろうかと思うと、目がくらんだ。我ながら、気の小さい話だ。  駅前のパチンコ屋の前を通りかかる。まだ開店時刻まで二時間以上あるというのに、もうたむろしている客が十人近くいる。一体、何をやっている連中なのだろう。自分を棚に上げて、不思議に思った。  駅のガードをくぐり、反対側の商店街に出る。家族が買い物をするスーパーマーケットは駅のこちら側だから、反対側にまで来ることはまずない。商店街のコンビニに入ると、こっちでも酒を扱っている。焼酎のミニボトルを二本買う。  ついでに雑誌を立ち読みしていく。今、8時ちょっと前。9時まではまだ時間がある。  学生たちがごちやごちゃおしゃべりしながら出入りしている。遅刻しないか、と思う。何をあんなにしゃべっているのだろう。自分が学生の時は、おしゃべりする相手などいなかった。別にそれが寂しいとも思っていない。誰かと顔を合わせるのが苦痛なのは、今に始まったことではないようだ。  考えてみると、学生時代の写真は身分証明書に張るのに使うもののように撮らないといけないのを除いて、一枚もない。何か、自分の姿を残しておくのが気色思えたからだ。それくらい、自分と周囲を嫌っていたのだろう。     
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