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実際に小豆や大豆などを売買するわけではなくその価格だけをやりとりする。ふと、人間も全部点数をつけて分類選別するのと同じ流れなのか、と思ったりした。しかも、取引の全額を用意する必要はなく、ずっと小額の証拠金だけ出せば、莫大な金額の取引ができる。儲かる時は大きいが、損する時も大きい、ハイリスク・ハイリターンだとしきりと上は主張した。
だが何か新しい価値を作るわけではなく、損する者から得する者へ金を移すゼロサムゲームだ。誰か得するためには誰か損しないといけない。そして損した者は普通ニ度と手を出さない。事実、ほとんどの客が一見さんだった。要するに、元から体力のある者が、ない者から吸い上げるシステムではないか、と思い出すと、そうとしか見えなくなった。
“良心的”だからといって、それが何か意味をもつわけもない。そういう意味のことを上に提言してみたこともあったが、「それはおまえ、愚痴だぞ」と一言で済まされた。
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