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気を取り直してテレコールに取り組んではみたが、かけた相手がすでに死んでいて、夫人らしい年輩の女性に何を親しそうに電話してるんだと罵られ、すぐめげた。あるいは、相場は家訓で禁じられてます、という者、黙って電話を切る者、詐欺師扱いする者、とにかく全滅だった。
しまいには、うちの会社と取引して大損したという相手が出てきた。古い名簿を何度も使っているのだから、そういうこともあると、後になって思ったが、そう受話器越しにそう言われた時はびびった。それでも、その番号を控えておき、後で家に帰ってからかけてみた。会社の人間ではなくて、個人としてどんな状況だったのか、知りたかったからだ。ふざけるなと断られるかと思ったが、意外にも会ってくれるというので、いいかげん遅い時間だったが待ち合わせて喫茶店に入り、話を聞いた。
特に話自体に新味はなかった。しつこく粘られて一枚(いうのが、売買の単位)だけのつもりで買ったら上がったから買えの、下がったがここが頑張りどころだから買えの、で契約を増やされ(つまり手数料も増やされ)百万単位の損をしたという。まあ、致命的になる損ではなかったが、二度とごめんだ、と。
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