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よくこんな最低の社員を雇ったものだ、と思った。この程度の奴を雇うのだから、この程度の会社なのだろう、とも思った。
気が大きくなったのか、何も考えなくなったのか、時間を潰した後会社に戻り、適当に言い訳したが、もちろんさんざん怒られた。だが、それは契約が取れなかったことを怒られたのであって、電話に向かって芝居したことや、嘘をついて外出したことはバレなかった。不思議なことに、酒を飲んでいることも怒られなかった。まさかそんなことはするまい、と思っていたからだろうか。
詳しい報告書も提出させられた。もちろんその中身はすべてでっちあげだった。もしそこに書いた電話番号に確認の電話一本入れられればすぐばれただろう。だが、誰も逃した魚を再び追うようなムダな手間をかけようとはしなかった。
この程度のウソやデタラメも見破れないのか、とまた傲慢にも思ったのを覚えている。帰ってから、あまり迷わず辞表を書き、翌朝早く出て行ってあまり出勤する者がいないうちに提出した。もちろん遺留はされなかった。
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